2017年10月7日土曜日

GUのストレッチデニムクライミングパンツがかなり優秀。

GUのストレッチデニムクライミングパンツがかなり優秀で気に入った。

もともとクライミングパンツは機能性と出生の土台が気に入っていてはいたりしていたのだが、お手軽な価格のこれはずいぶんいい。ディティールもきちんと押さえてあって上手にタウンユースのための着地点を見つけている。


ストレッチデニムは肌触りもよくウエストのウェビングベルトでちゃんとアウトドア感が出てる。
クライミングパンツならではの開脚をサポートする股下のマチ、ウェストの幅広目の総ゴム入りで大きなアクションの時の尻が出ることも防ぐ。テーパードシルエットになっているのだが余裕ある腰回り。すっきり見えるのもいい。ポケット前後二つづつもきちんと深いポケットで安物のデニムパンツにありがちな実用性低い浅く小さなポケットとは一線を画す。当たり前の機能をおろそかにしなかったのは評価できる。さらに後ろポケットは入り口が細いフラップの合わせになっていて収納品の脱落を防ぐ。よくまあディティールに凝ったものだ。

この手のものはもう少しポケット、エプロン、サスペンダーループなどディティールに凝ったものをアウトドアオシャレな人々が数年前から着ていたがそれらは大体2万円前後だった。

これはとてもよい品。
追加であと何本かストックすると決めた。

2017年8月25日金曜日

<Amazonでお買い物 その5>大きいテント。

キャンパーズコレクション プロモキャノピーテント5 (4-5人用)(室内270×270×160cm) CPR-5UV 【ベージュ/グリーン】

2010年9月28日注文。購入時価格7980円


天井の高い中型テント。広い。ちと寒い。

セールで安くなったタイミングで7980円にて購入。
4~5人用で組み立ても標準的、むずかしくなく経験が乏しいキャンパーでもそれほど手間をかけずに組み立てができるだろう。わたしの場合、家族2名で使うには余裕があるが、その場合広い空間がひとの体温や発熱だけでは暖まらないので暖房も用意するといいだろう。ただし換気をきちんと考えること。春秋の使用がベストで家族4人ほどでオートキャンプを楽しむひとにはぴったりのもの。

ペグを打たない人がいると聞いたことがある。安全性、機能性とかっこよさの観点からもきちんとペグを使いピンと張った美しい状態で使うべきだ。アウトドアギアは各個人の使用シーンと環境で性能と印象が大きく左右される。従って印象もまちまちになる。レビューを鵜呑みにせず慎重に選び、購入を決めたらその製品を工夫を持って使って欲しい。人に責任を押し付け文句を言うのは筋違いだ。経験を積むことに手間や金を惜しんではいけない。

しかしわたしは天幕に関してはせまいやつが好きみたいだ。
もともとモンベルのムーンライト1が常宿で、他のテントもいくつか持っているがこれだけは気に入っていて20年前のを未だに使っている。一人行動、ないしは友人たちとキャンプの時も自室を持ちたいタイプの人間だから、というのもある。テントの中で立って歩くことは考えていない。
最近のスマートなテントもいいねえ、と思うが三角のやつがやっぱり好きだ。

そうそう使用頻度が高くなるものではないテントというもの。でも魅力的な新製品が出ると試したくなる。困ったものだなあ。


https://www.amazon.co.jp/dp/B0018CW34A/ref=cm_cr_ryp_prd_ttl_sol_0


2017年8月24日木曜日

<Amazonでお買い物 その4>クラシックヘッドホンデザイン。

パナソニック 密閉型ヘッドホン ビーンズグリーン RP-HTX7-G

クラシックデザイン。

2009年7月17日注文。購入時価格4482円

ずいぶん前に買ったものだがそのデザインと質感は悪くなく、壊れたら未だに買い足してもいいと思うことがある。

昔のスタジオモニター用ヘッドフォーン風のデザインだ。
ピスタチオグリーンとヘッドバンドのベージュの革の質感のバランスはなかなかのものだ。他にもグレーや薄水色のものもあってそれぞれ魅力的。音は可もなく不可もなく。この値段だったらよかろうと思えるもので、それで十分。
オーディオはいろいろいう人もいるが、ファッションでこれをつけることになんの悪いことがあろうか、とも思う。また、あまりに高額で高音質のヘッドフォーンを無造作にカバンに突っ込んで出かけられる神経は持っていないので、これでいい。身の丈、という言葉を思い出す。
使っているとイヤパッドがボロボロになっていくが、幸い今は汎用の安いイヤーパッドも売っているのでいろいろと工夫のしようがあるのがありがたい。

この間も引っ張り出してみたがしみじみいいデザイン。これを書くのでAmazonのリンク先を見てるんだけど、3000円台前半にまで価格が安くなっており、ベージュと薄水色を買ってしまいそうで危ない。


https://www.amazon.co.jp/gp/product/B000FF55V4/ref=oh_aui_detailpage_o00_s00?ie=UTF8&psc=1

2017年8月23日水曜日

<Amazonでお買い物 その3>iOSデバイスにマイクをつけてみたかったあの頃。

プロテック iPod&iPhone対応 ボイスレコーダー用超小型マイク CAPSULE VOICE PCV-WH ホワイト (対応機種/iPhone3G,3GS,4iPod nano 4Gtouch 2Gclassic 120GBiPhone 3G)


マイクのないiOSデバイスで。

2009年7月17日注文。購入時価格994円

当時、マイクのないiOS機器にも音声録音アプリなどが乗ったり入れられるようになって発売されたガジェット。

当時iPhone3GSだったか、それにつけるため試しに買ってみた。もちろん電話だからマイクがついているのだが、あくまで試してみたかったから。結果音は特に変わることなくでお蔵入り。しかしiPhoneにこの白くてぷっくりした出っ張りがつくのはみていて面白かったしカプセル型というのは気に入っていた記憶がある。

これ、未だにガジェットを放り込むおもちゃ箱に転がっているが、さすがにもう処分してもいい気がしている。iPhoneの内臓マイクは本当に優秀になった。アプリケーションで動いているので完全には信用していなくて仕事の時は単機能のボイスレコーダーを使っているが、バックアップ用とかプライベートの外出時にボイスレコーダーが必要になったらiOSの標準機能のボイスレコーダーで十分だと思っている。

マイクというのはアイコン的な部分もあって、たとえば今ではスマートフォーンの普及でそんなこともなくなったが昔だとインタビューの時にiPhoneをテーブルにおいてもインタビィー独特の緊張感というか、録音をして喋っている感がなかったので演出、という意味でもマイクは外付けした方がいいかな、と思っていた。10年経っていないのだがそういうのんびりした時代だった気がする。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B001UV4D9M/ref=oh_aui_detailpage_o00_s00?ie=UTF8&psc=1

2017年8月22日火曜日

すき家の牛丼は進化をしている。それはすき家というチェーンのレシピという話ではなく。

なんとなくの感想で甚だ申し訳ないのだが、牛丼という食べ物からビーフリゾットとも言えるものに「現場」で独自進化している感があるのだ。

わたしはクルマで関東甲信越圏から東海地区くらいまで、よく出かける。頻度でいうと月に6~7回であろうか。クルマを走らせるのが好きで、その中で考え事やまとめたいことを形にしている。時間帯でいうと深夜が多い。選択の必然として牛丼チェーンに入ることも多くなる。

そんな中、牛丼好きな人ほど回数を食べているわけではないので恐縮だが、どうも地方、特に街道沿いなどのロードサイド店に入るとご飯が汁で全部茶色いことがままあるのだ。数字をとったわけではないので体感ではあるが、全牛丼チェーンを通してそういう傾向が多少ある気がしている。そしてその傾向が強いのがすき家だと感じるのだ。

リゾット、と言ったが、牛丼とそうではないものの一線は確実にあると思う。
それはわたしが感じるところ、ごはんを箸ですくい上げて口元に持っていけるかどうか、だと思っている。牛丼はどんぶり飯な訳で、カツ丼や親子丼などと同じジャンルだ。決して汁かけごはんではない。
どんぶりを口元に持って行って箸で掻き込むのはわたしは好きではない。汁気が多いとこれをしなければならなくなり、だったらスプーンかレンゲをもらおうという話になる。ここが多分その一線なのではないだろうか。
そしてすき家の牛丼で汁気が多いと、その油の量に辟易してしまい、つらい思いをすることもある。

吉野家は白ごはんに牛煮込みが乗ったもの、その牛煮込みの汁が少しごはんにしみる程度、という食べ物に感じる。すき家は特定の店に限って意図的に汁を多めにかけているのではないかと疑うようなものが出てくることが多い感があるのだ。
これは完全にわたしの想像なのだが、日々のオペレーションの中で、アルバイト店員があまりにも汁を多くしろという意見が客から出る。しかしマニュアルもある。どうするか。日々のオペレーションを回さずにマニュアル遵守じゃあどうにもならない。では大多数を占める汁多め派に合わせるか。そんなことがあるのじゃないだろうか。地方のロードサイド店で出会う客でどんぶりを口に当てて掻き込む人が多い気もしている。それぞれの要素に何らかの関係があるのではないだろうか。

時間帯もあるだろうし天候や、もっといろいろな条件があるのは承知だが、あえて感じたことを記してみた。

http://news.livedoor.com/article/detail/12394907/

2017年8月12日土曜日

<Amazonでお買い物 その2>SNS前夜のコミュニケーションツール。

[ポーケン / Poken] - Baby


SNS前夜のコミュニケーションツール。



2009年7月17日注文。購入時価格1500円


大変懐かしい名刺交換ツールともいえるもの。ハードウェアSNSとも言えるか。

SNSは始まっていたが、ごくごく限られたギークやとんがった人たちばかりが集っていたSNS時代の前夜、という時期にぱっと盛り上がって消えたツール。
自分のプロフィールをPCでネット上に書き込んでおき、実際にあった相手にお互いのポーケンの手をかざしあって「ハイタッチ」(そうそう、ハイタッチだった)。緑のランプがつけばデータ交換完了。赤いランプがついた場合はエラー、もう一度「ハイタッチ」を、だ。よくエラーも出たなあ。

直接会って、というのがミソで、ネットを介したSNSでは誰ともしれないひとからの友達申請を弱ったなあ、とスルーする人も多いだろう。これはそういうことがないのがいい。いまだからまた使ってみたい、など思わせるプロダクト。

ついこの間ヒマナイヌの川井さんがポーケンナイトを開催してて行きたかったなあ。ナイスなイベントだよなあ。用事で行けなかったなあ。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0027R1QGG/ref=oh_aui_detailpage_o00_s00?ie=UTF8&psc=1

<Amazonでお買い物 その1>初めてアマゾンを使ったのは2009年夏だった。

No brand iPhone 3G ポータブルチャージャー LP8 シルバー アイフォーン

大変に変ったデザイン。


2009年7月3日注文。購入時価格1780円


大変変ったデザインに一目惚れした記憶がある。

購入履歴を見たら2009/7/3になっていた。なつかしいiPhone3G用として購入。
不思議な形のデザインで、薄型のバッテリーから一カ所飛び出したプラスティック製のベース部からドックコネクタが生えており、そこにiPhone3G差し込む。いま見るといろいろと機能的にうまくない部分も散見できるが、まだまだiPhoneアクセサリーは混迷を極めていた頃だ。アクセサリーの混迷期にこんなデザインの変わったものが登場していたことを思い出すのはちょっと楽しい。いまでもなかなかかっこいいものだ、と思い出す。

わたしがAmazonで買い物をした記念すべき第1号。
掘り返すまで忘れていた。
そうか、もう8年もアマゾンを使っているのか。


https://www.amazon.co.jp/gp/product/B001M6Z5F6/ref=oh_aui_detailpage_o01_s00?ie=UTF8&psc=1



2017年7月28日金曜日

試飲無料に驚いた。『「J-CRAFT」ポップアップストア』3日間だけのお楽しみ。


友人の里井真由美さんにお誘いをいただいて、『「J-CRAFT」ポップアップストア』にお邪魔をした。プレス発表会後の試飲会だった。


三菱食品が取り組むクラフトビールのチルド品質流通がテーマのポップアップストアであった。コンディションリカー、チルドビールという考え方は面白い。ビール大手も定温輸送は当たり前になってきた今、大規模ではないマイクロブリュワリーから自社流通網を持たない醸造家には面白いと思わせるのではないか。


日本のクラフトチルドビール厳選6種を「海セット」(3種)、「山セット」(3種)として、それぞれのビールに合うベアリングフードとともに楽しめる内容だ。驚きの1セット無料提供うーん、たいした力の入れようである。追加でもうワンセット、は有料なので、せっかくだったら両セット、6種を楽しむのがおすすめであろう。


・海セット


岡山県宮下酒造「優爽のヴァイツェン」+「季節のフルーツ+シーザーサラダ」
 炭酸のあたりも柔らかくほんのりの苦味、切れ味いいビール。

DHCビール「香爽のフルーティーホワイト」+「山椒風味の唐揚げ」
 香り鮮烈、なれど思いのほか味は穏やか。甘みが残るのがおもしろい山椒の香りを楽しむビール。
 
ベアードブルーイング「芳醇のペールエール」+「ハーブローストチキン」
 3つの中では一番苦味が強くビールらしさあがある。すこし入る酸味が爽快感に。


・山セット


銀河高原ビール「爽快のヴァイツェン」+「野菜のピクルスと焼きそら豆」
 小麦の香りが強く出て、ビールなのにお菓子やパンを食べているような不思議な風味でついつい進んでしまう。

宮崎ひでじビール「日向夏の風」+「クリームチーズ」
 軽く爽やかで日向夏の香りがフレッシュ。舌は甘くないのにマーマレードを口に含んでいるような気分。夏によく似合う風味。

黄桜「豊香のルビーエール」+「ローストポーク」
 落ち着いた味わいでまろやか、存在感がある。きちんと強めの味のフードに合わせると良さそう。


ペアリンングフードはなかなか可愛らしいコーディネートで見栄え良く、味もビールとのマッチングがちゃんと楽しめる強弱があって楽しい。

コンディションリカー~チルドビールという考え方はなるほど面白く、興味深い。せっかくブリュワリーの職人が丹念に作ったクラフトビール。ブリュワリー直下で飲むあの味わいをそこへ行かずとも、というのはすごいこと、そして逆にその体験から興味を持ってくれた顧客が2次的なアクションとしてブリュワリーツーリズム、などの流れにつながるとちょっと面白い未来が見えてくる。


とまあ、感想を書いたのだが、これはいかないともったいない。

無料で飲み比べの楽しさを存分に味わえる。ビールの量もいわゆるビアタン(ビヤタンブラー/ビンビールと一緒に出るコップ)いっぱいなみなみくらいあるので存分に楽しめるだろう。


『「J-CRAFT」ポップアップストア』
728日(金)~30日(日)
・@表参道「Cafe&Dining hanami詳しくは里井真由美さんのブログでも。
http://ameblo.jp/i-kitchen/entry-12296446623.html#チルドビール



2017年7月17日月曜日

2017年の新車の顔つきは、悪い。

車のフロントマスクは人形の顔と同じだ。そこに表情が宿り、魂が宿る。

2017年の新車の顔つきは、悪い。
もちろん全部とは言わぬが人相が悪いのだ。

車種名など出すのも忍びないのだがトヨタのワンボックス、ミニバンはひどい。
本来ファミリー向けの車種であるはずのあの手の車。ラインアップを見ると非常に人相が悪い。しかも顔だけ悪くて、しかし変えようもないボディは顔が悪顔だけに余計ずどーんと間延びして見える。その仕上げにテールライトを目尻だけあげていっちょあがり、と仕上げている。車がかわいそうに見える。モデルチェンジが進めば進むほど人相悪く、その上大味になってくる。

この流れ、思うに車を2台買う、家庭用とお父さんのかっこいいやつ、などの文化が経済悪化とともに廃れ、お父さんの立場も弱くなり、そういう中でお父さんが決定権を持っていたはずのクルマ選びはいつしかお母さんにその実権が移った。買い物に便利、子供のため、旅行、帰省にもいい。いろいろある中でミニバンというジャンルはいつしか白物家電的進化を遂げる。ところがそれと相反するように顔つきは悪くなり、デザインやら元々あったコンセプトやらがどうもちぐはぐな謎めいたものになってきている。そういう流れがある気がしている。

そういう厳しい状況の中でお父さんが唯一の方法としてせめて顔だけかっこいいのを選ぼう、となる。ところがミニバンと言われる車のニーズはいわゆるヤンキー文化とも深く結びつき、カッコいい=悪っぽいという残念なチョイスになっており、その中でお父さんが選択をせざるを得なくなっている。

そんな車を選んだお父さん。子供達とドライブに出るが、どうも今までの車とは様子が違う。追い越し車線を走れば前の車がどく。止めてあるとなんだか強そうに見える。黒を選んでよかったなあ、とお父さんは思う。
そういう中でお父さんの中に変化が起きる。追い越し車線からのかなくなる。割り込む、乱暴な運転になってくる。だってこの車に乗ってる俺って悪っぽくて強そうだから大丈夫だろう。それで、たまにメルセデスの本当に悪い人が乗ってるやつに脅されたりなんでもない、ミニバンとはまた別の謎進化を遂げたSUV系の人に幅寄せされたりして震えたりしょんぼりしたり、なんだこのやろーとなったりする。もうそこには優しかった温厚なお父さんの姿はない。
今度は負けない。ボーナスでエアロをつけよう。お母さんに気がつかれないように1インチだけローダウンしよう。そうだ、おこずかいでできるぞ、悪そうなステッカーを貼ろう。流行りのライトの上を斜めに潰す黒いシールも買おう。

そこにはお父さんとは違う知らない人が立っている。



2017年3月28日火曜日

【公開書簡(仮)】そういえば弓月ひろみ嬢からの質問に答えていなかった。/イイヅカ

弓月ひろみ嬢とこの公開書簡をやりとりし始めたのだが、だらしない私はさっさと更新を止めてしまっていた。

せっつかれて書き始めたが、せっつかれるタイミングがよかった。ちょうど仕事のトラブルで色々なものが中断、その中断したものが再開、片付いたところに催促がきた。さっさと書いた1本。が、彼女からの質問に答えるのを忘れていた。

「そんなわけだから、はぴさんにきいとくね。はぴさんは何で、カレーが好きなの?どうしてカレーを好きになっちゃったの?いつも、どんな気持ちで、連載記事を書いてるの?」

ときた。

これはもう何度も聞かれた話で、何度もどこかに書いたりインタビューを受け、話したりしているのだが、決定版がない気もしていた。この公開書簡を決定版として何かあったらここから切り貼りするということで少し詳しく書いてみようか。
何しろ30年以上前のことなので多少わたしの都合に合わせて楽しい感じになっているやも知れぬが、それを念頭に読んでほしい。


わたしは1964年生まれ。戦争から20年ほど経った東京で生まれた。爺さんの代から続く水道屋の息子でちょうどわたしから江戸っ子を名乗ることができるというわけだ。稼業は皆さんもご存知の通り、継いでいない。
小中高と公立の学校でのほほんと過ごし、大学受験をすべって当時はやりの専門学校へ進んだ。コンピューターグラフィクスを学ぶつもりがその学科が定員割れで潰れ、仕方なくCOBOL(これはもう1960年代の言語だ)とFORTRAN(これも同様)を学び、商業コンピュータ、主にオフコンと呼ばれるもの(そんなものはもう現存しない。謎の円盤UFOのオープニングのようなテープがぐるぐる回るそれはそれはかっこよく無様に大きい機械だった)のシステム構築をする仕事をモーターでおなじみの某日の丸系会社の子会社でやっていた。

小中の当時、カレーライスは子供達のアイドル的メニューだった。ハンバーグは憧れ、カレーはもう少し身近なアイドル。学校でも家庭でも変わらずその地位は子供のスター的メニューだ。カレーが出される日は気が狂ったようにおかわりをして顔が土気色になるまでカレーライスを堪能したものだ。
そんな人並みにカレーが好きだったわたしが無我から自意識としてカレーを欲するようになったのは確か1980年代始めだった。

高校を卒業して、高校の在学中にどうにも好きで片思いをしていた女の子がいた。なかなかおしゃべりをするチャンスもないままでいたが一念発起、彼女をデートに誘ってみようと思い立った。当時の高校生、お金も大して持っていない。レストランに誘うならと色々算段するのだが、どうにも予算が立ち行かない。
現代はいい時代だ。フレンチにもイタリアンにもカジュアルラインがある。ビストロやトラットリア、sカジュアルレストランに女の子を誘うなんて現代の都市部の高校生は普通にやっているだろう。しかし当時、そういうカジュアルな店は皆無。そういうレストランのチョイスをすれば数万円の食事代にプラスしてジャケットとタイ、革靴を揃えねばならなかった。これはもうアルバイトもろくすっぽやっていない高校生にはおいそれと手を出せる場所ではないのだ。高校当時、ぴあやアングル、シティロードといった情報誌を片手に映画や舞台などを見にいっていたわたしははたと気がついた。その情報誌にたまに載っているインドカレー。インド料理のレストランは確か多少は安いはずだ。その線で行ってみるか。インドレストランならネクタイをしないでも大丈夫だろう。だってカレー屋さんなんだから。その上金を持ってる友達がイタリアンなぞに女の子を連れていく中、こちとらちょいと珍しくてみんなが行ったこともないインド料理だ。差がつけられるぞ。甚だ浅はかな高校生のわたしはそう考えた。

雑誌アングルを精査し(わたしはアングル派だった。ぴあは映画情報がメインだったしシティロードは何か肌に合わなかったのだ)これという店に目星をつけた。何しろ初めてのインドレストランだ。オートバイで下見にまで行ってきた。(お金がないので店を見に行っただけであった)そして当日。営団地下鉄の東西線で彼女と並んで座り九段下の駅へ向かった。緊張でガチガチのわたしだったが彼女は涼しげな顔をしていた。彼女の思い出はここまでだ。ここ以降、店での彼女との思い出は一切ない。今となっては何を頼んだかも忘れてしまったが、とにかくすごい衝撃を受けたのだ。

店構えもちょっと独特の雰囲気があるレストランだった。子供のわたしからすれば十分高級店であり、目的は達成されたが気後れも感じていた。大人の場所だ。そう思ったのだ。ホールは想像したよりも薄暗く、女性のウェイトレスが忙しく歩き回って活気があった。強いインドカレーの香りがホールいっぱいに広がっていてそのことに圧倒された。うまそうな匂いだった。不思議と初めてのインドのカレーの香りに違和感もなく魅了されたのだ。気もそぞろなままに注文。写真もなく英語の表記もある大人っぽいメニューにまた気圧されて、それでもやっとの事で注文をした。そしてやってきたカレーとライス。これが衝撃的だった。

もう一度書くが、もう今となっては何を頼んだかも覚えていない。当時の浅はかな高校生の頭ではチキンカレーのスタンダードなやつくらいしかチョイスできなかったと思われる。そしてカレーを食べて驚いた。どう驚いたかももはや定かではない。ただ、知らない世界が開けたのだけは確かだった。聞いたことも口にしたこともないカレーライス。カレーライスでさえないのではないかと訝りながらもその魅力的な食べ物のことで頭はいっぱいになり、彼女のことは頭から消えた。わたしは付き合う前に彼女を振ってインドカレーに恋をした。

その後そのレストランが「アジャンタ」という名前であることも知らずに何度か通った。ある日、カレーに恋をしているはずなのに懲りずに色気を出して後輩の女の子をオートバイに乗せてその店にやってきた。店はなくなっていた。文字どうりなくなっいたのだ。あの上品な白い壁は崩され、柱の残骸などが山になっていた。その向こう側に靖国の大鳥居が見えていたのを覚えている。大いに絶望したものだ。

そんな体験と並行してインドカレーに興味を持ったわたしは他の店にもいかねばいけない、という使命感を帯び食べあるきを始めた。1985~6年ぐらいのことだろうか。東京のインドカレーのもう一つの大ボス、ナイルレストラン。そこにも小遣いを貯めては通っていた。寒い冬の日、東銀座駅から小走りでナイルレストランに向かった。確か紫色だっただろうか、色がついたガラス扉は寒さで曇っていて、その扉を開けて入ると髭のインド人が席に案内してくれた。大きくインデラカレー粉の宣伝が書いてあるテーブルにつくと、真っ先にムルギーランチを進められるのは今と変わらない。それを嬉々として受け入れ、ムルギーランチばかりを食べていた。ある日端の席に座っているとインド人のおじいさんが自分のテーブルの席に座ってきた。なんだか怖いなあ、なんだろう、と思うと食べ方の指摘を受けた。勝手に食わせろよお、やだなあもう、、、と若いわたしは思っていた。そんな出来事があったことをナイル善己氏に聞いてみると、多分自分の祖父だろう、と言っていた。彼の口からそれを聞いて、あの時わたしは歴史を食べたのだな、と感慨深く思った。

他には御徒町、湯島にあるデリー上野店。小さな、カウンターだけの店なのだがいつでも混んでいて活気があった。カレースタンドだと思って入ったが、食べたことのないエキゾチックな味と香りのカレーを出されて驚いた。お客たちはメニューも見ずに次々と注文をしてゆきどんどん食べてはさっと席を立ってゆく。そういうのがかっこいいな、と思ったものだ。はじめは周りの客がこぞって頼むカシミールカレーというのを頼んだが、辛すぎてむせ返るような思いをした。大人になってからはその良さがわかるようになり、時たま頼むようになったが子供の時分には刺激が強すぎた。次にコルマカレーというカレーを食べたのだがこれが大当たり。自分の舌の好みによくあった。以来コルマカレーを求めて通うようになった。

他にも上野アメ横のガード下にある狭い階段を登ってゆく「アーグラ」、新宿のスリランカレストラン「コートロッジ」で知ったココナッツミルクが入ったカレー、新宿アルタ裏の沖縄そばの店の2階にあった「印度屋」なんてとこはインドカレーの食べ放題の走りみたいなお店で嬉しかったな。新宿はもちろん「中村屋」、それと「モンスナック」。渋谷だったら「ラージパレス」。他にも本当にたくさんのお店を回ったものだ。

システムエンジアを初めて4年ほど。どうにもやっていることとやりたかったことのギャップが埋まらずに悶々としていた。決心をして辞表を書いて。雑貨業界に転身をした。その仕事は出張も多く、全国のカレーを食べて歩いた。東京にいるときは相変わらずの有名店めぐりに加えてその幅も広がっていった。タイ料理も好きになり、下高井戸にあったピキヌーにオートバイで日参しては辛い辛いと言いながらカントリーカレーを食べ、店主が漬けたフレッシュなプリックナンプラーを買って帰った。

そうやって家カレー、給食カレーから初めてのインド料理としてのカレーを経てアジア各国料理の中の煮込み料理としてのカレーが好きになり、2回転ほどして日本の古いカレーライスの良さに目覚め、日本人コックが作るインド風カレーが一番うまいのではないか、など考えたりとグルグルとしているうちに知識と体重も増え、現在のわたしとなったのである。

「どんな気持ちで、連載記事を書いてるの?」

は、また今度。